うつ病への鍼灸
相手先企業へのプレゼンテーションに失敗したり、上司から怒られたりすると気分が落ち込みますね。
それでも何日かすると、少しずつ前向きな気持ちが取り戻せ、以前と同じように仕事ができるものです。
ただ、この気分の落ち込みがいつまで続く、今まで楽しかったものに興味がなくなるなどすると、それはうつ病かもしれません。
このようなときには、まず、専門医にかかりちゃんと診てもらうことが大切です。
うつ病の症状は、始めのうち、心の不調ではなく、体の不調や行動の問題として現れることがほとんどです。
食欲や睡眠に現れるだけでなく、体がだるい、生気がない、頭痛、めまいや吐き気といった体の症状、ひきこもりやリストカット、暴力や攻撃的な行動などとして表現されることもあります。
うつ病は、脳内に存在するセロトニンやノルアドレナリンという神経伝達物質が減少することにより引き起こされると考えられています。
これらの神経伝達物質は精神を安定させたり、やる気を起こさせたりするものなので、減少すると無気力で憂うつな状態になるということです。
鍼灸は脳の海馬や前頭前皮質に刺激が伝わり、痛みを誘発する一酸化窒素、プロスタグランジンや炎症性サイトカインのたんぱく質発現を減少させる、脳由来神経栄養因子の分泌を増加させることが分かってきています。
これらのことにより、脳内でオキシトシンやセロトニンの分泌が増加することが確認されています。
鍼灸によりうつ病の原因であるセロトニンの分泌を増やし、精神を安定させ、やる気を起こさせることが可能になります。
また、オキシトシンにより抗ストレス作用が活性化されるだけでなく、社会行動を安定化、活性化することができ、前向きに行動するようになります。
このオキシトシンは、自律神経にも作用し、自律神経の乱れを整えます。他には、痛み情報にも作用し鎮痛作用もあることが分かってきています。
鍼灸によりオキシトシン分泌が増加することによりうつ病による自律神経症状や痛みを改善することが期待でき、それによりうつ病改善が進むとされています。
これらのことにより、鍼灸がうつ病改善のお役に立てます。
鍼灸のうつ病への効果は、NHKの「東洋医学ホントのチカラ」という番組で「鍼灸によるうつ病の治療 心に効く「ツボ」の効果とは」でも紹介されています。