愛しい我が子に食べさせたい、大好きな人を笑顔にしたい。
「我が子菓子」というちょっと変わった呼び名には、そんな、一人の親としての想い、お菓子職人としての想いが込められています。

人から人へ、親から子へ。受け継がれるもの。
昭和14年、愛媛県内子町で祖父である宮瀬栄一が卸・小売店として創業、それが「宮栄」のルーツです。
もともとは市販のお菓子も扱う問屋でしたが、ある時、仕入れ先の小さな芋けんぴ工場が廃業すると聞き、ものづくりが好きだった父は、なんとかこの味を引き継ぎたいと、古い機械と製法を譲り受けたのです。

今思えば、あのときに芋けんぴ屋さんに教えていただいたのは、技術だけではなく、小さなお菓子に込める想い、そして変わらぬ手づくりへのこだわりでした。
こうして、そのとき既に事業継承の為にUターンしていた私と父と、二人での自社製造がスタートしました。

私が子どもの頃には当たりまえに有ったように、混ざり物の無い昔ながらの安心な菓子を残していきたい。
これからの子供たちにも食べさせたい。父は仕入先の廃業に直面し、そんな思いが強まったようです。

今は引退した父・善三(ぜんぞう)の想いを汲んで、自社の手づくり菓子に「善蔵(ぜんのくら)」と名付け、その精神を受け継いでおります。