【前後編計4000文字】
転職エージェントと聞いてもピンとこない方が多いように思い、具体例を挙げて少し踏み込んだ話をします。

【今の仕事に悩むAさんの件】
Aさんは高校卒業後、数年間飲食業界にてアルバイトをし、親の勧めもありそろそろ落ち着こうと地元の中堅製紙会社に就職し、約10年間にわたり製紙工場で三交替勤務していました。
その間結婚もし子供にも恵まれ住宅ローンを利用してマイホームも持ち、周囲から見れば何の問題もないように思われる状況にありました。
そんな中Aさんには悩みがあり、それは「三交替勤務では家族と会える時間が少ない」ということです。
Aさんの奥さんは昼間紙加工会社でパート勤務しており、子供も小学校に上がり、家族のスケジュールがAさんだけ合わないという悩みです。
Aさんは以前より勤務先に常昼の部署への配置換えの希望を出していましたが、それも現場の上司で止まっているのか「なぁなぁ」で現在まで状況に変化はありません。
またAさんの奥さんは実家が近くにあることもあり、日曜日や祝日は子供を連れて実家に遊びに行くことも多かったようです。当然、Aさんの勤番次第では思うようにスケジューリングできなかったようです。
他方で給与は10年勤めていますからそこそこの金額まで増加しているようでした。例えばということで年収400万円としておきます。もちろん残業代や賞与等も含んだ税引き前の年間総支給額です。
なお転勤の可能性はありません。

あなたがAさんならどうしますか?

三交替勤務であることを利用して休日にハローワークに行きますか?
リクルート等の大手人材会社にウェブサイトを通じて求職者登録しますか?
求人情報誌を読み漁りますか?
知人に紹介してもらいますか?
それとも退職願を早々に提出して転職活動(求人探し→応募→面接→合否判定→待遇通知(あやふやなケースも多々あり)→入社→給与明細にガックリ)に励みますか?
もしくは1人でスマホ片手にいろいろ調べながら月日だけ経過させますか?

本題ですが、ここでやっと転職エージェントの出番がやってきました。
Aさんの状況を気にしたAさんの奥さんが転職エージェントの利用を促し、Aさんは休日を利用して転職エージェントに相談に行きました。

その後一通りのプロセスを経て、Aさんの事実上の代理人(労働契約の代理締結権があるわけではないので正確にはコンサルタントという位置づけになります)となった転職エージェントはAさんの要望に基づきアプローチ対象企業(先に協同して作ったターゲットリスト上の企業です)の人事担当者にコンタクトをとりました。
※当然ですが、各企業の人事の状況は様々ですから、タイミングがかなり重要にはなってきます。むしろ対象企業のタイミングに合わせるように動く方がよい場合も多々あります。
以降、転職エージェントはAさんの個人情報を秘匿した状態で複数の人事担当者と情報交換しながらAさんの希望になるべく合う企業(社風/職務/待遇/将来性)を選別していきました。

しばらくして、ある程度の情報がまとまったところで転職エージェントはAさんと打ち合わせをして、集まった情報の中から「これは」と思う企業をAさんにピックアップしてもらいました。
※ここで重要なことですが、転職エージェントはAさんの希望だけを見ているのではなく、企業の人事から見たAさんに対する希望も同時に見ています。つまり、Aさんにとって妥協すべき点や努力すべき点なども転職エージェントはAさんにしっかりと伝えます。

そうしてAさんは自身の個人情報(名前や経歴等)を対象企業に開示(一般的には履歴書&職務経歴書の提出)してもよいかどうか判断することになるのですが、ここでも転職エージェントがいることでの特徴的なプロセスがありました。
まだ転職するという意思を明確にしていないAさん(むしろ転職エージェントによって転職の意思を明確にさせないようにしています)ですから、「書類を作成しての求人への応募」という段階には至っておらず、むしろ「個人向け企業説明会への参加」という建付けで転職エージェントを通じて対象企業に企業訪問の機会を申し込みました。

企業訪問の当日は転職エージェントも同席して個人向けの企業説明会という雰囲気で人事担当者と3者面談を行いました。
ガチの面接ではないということもあり、Aさんも緊張せずかなり踏み込んだ話を人事担当者とできたようです。
その日はあくまでも「個人向け企業説明会」という建付けですのでAさんも人事担当者もざっくばらんに話ができ、お互いに相手のことがよく理解できたようでした。
そうしてAさんとはその日は別れ、転職エージェントは改めて人事担当者と、対象企業にとってAさんが必要かどうかを念頭に置いた打ち合わせを行いました。

次に続く