いにしえの陶工による、茶器の美しさに、またポストモダニズムの流れから生まれた椅子の曲線美に今、新しさを感じる。単純なラインで意匠された作品から、心地良さと共に、ある種の崇高なメッセージを受け取り、創作意欲を駆り立てられる。    日本にバレエが伝わって百年、ダンサーのプロポーション、テクニック、身体を貫く舞踊教育と美意識、表現の延長線上にあるコスチューム、舞台美術と技術、それぞれ大きな発展を遂げて来た。しかし思うに、案外大切なコアになるものは、舞台もダンサーも変わらないものだ。    人間が演じ、観る客も人間なら変わってはいけないものがあると信ずる。    数年前に亡くなられた劇作家の井上ひさし氏が残した言葉がある。シンプルな、ドラマ作りの極意がここに見える。それは、舞台作りのみならず、リハやレッスンの現場にも当てはまる。    現在の日本において、ダンサーには、様々な選択肢が開かれている。職業ダンサーの受け入れ先全体像は、黎明期にあるのかもしれないが、私は、大和シティーバレエを通じて、この地で培われた感性を大切に、固有の舞台作品を国内外に発表して行く思いを新たにしています。   むずかしいことをやさしく、 やさしいことをふかく、 ふかいことをゆかいに、 ゆかいなことをまじめに 井上ひさし   Take difficult things easy, think of easy things deeply, make the deepest things humorous, for humor should be profound.  Hisashi Inoue