ヘリコバクター・ピロリ菌 胃粘膜に生息する螺旋形の細菌です。ピロリ菌はウレアーゼという酵素を分泌して周囲を中和できるため、強酸の環境である胃の中でも生息することができます。 衛生状態が改善すると感染率が減りますが、先進国では例外的に日本人の感染率が高いことがわかっています。ピロリ菌はヒトからヒトへ感染するので、身内に胃がんや十二指腸がん、ピロリ菌の感染に罹った方がいると、感染リスクが高いと考えられます。ピロリ菌の感染がみつかった場合、除菌治療によって疾患発症のリスク低減やお子様や周囲の方への感染拡大を予防することにもつながります。
逆流性食道炎で最も現れやすい症状は胸焼けです。胸焼けは、胸のあたりで焼けつくような痛みを感じたり、不快感を起こしている状態で、食べ過ぎや脂質の多いものを食べた後に起こりやすい傾向があります。食物が胃に入ると胃酸の分泌が過剰になって、食道に逆流してしまうと胸やけが起こります。胃には強い酸性の胃酸から粘膜を守る粘液がありますが、食道にはこうした防御機能がないため逆流した胃酸で粘膜がダメージを受けます。 逆流が頻繁に起こるようになると食道粘膜へのダメージが蓄積してただれなどを起こします。こうした状態が逆流性食道炎です。食道粘膜の炎症によって胸焼け以外に、呑酸、咳などの症状を起こすこともあります。逆流性食道炎はお薬で比較的治しやすい病気ですが、再発しやすい傾向があります。食道の炎症が長期間続くと食道がんのリスクが高くなってしまうため、しっかり治すことが重要です。
腹痛にともなって下痢や便秘などを起こし、排便によって解消するなどの慢性症状があって、大腸粘膜に炎症などの病変がない疾患です。炎症など器質的な原因ではなく、蠕動運動などの機能的な原因から発症すると考えられています。腸の機能をコントロールしている自律神経はストレスなどの影響を受けやすいため、発症にストレスが大きな影響を与えます。そのため、緊張などによって症状が起こることがよくあります。 通勤や通学、会議、面接、テストなどの緊張により症状を起こすことがあり、日常生活に大きな支障を及ぼす可能性がありますが、適切な治療で改善できますので、お悩みがありましたらご相談ください。
大腸の粘膜が慢性的な炎症を起こし、症状が治まる寛解期と再発する活動期(再燃期)を繰り返します。発症の原因が不明で完治に導く治療法がなく、厚生労働省から難病指定を受けています。炎症を鎮めるお薬の服用で症状をコントロールできれば寛解期を長く保って発症前とあまり変わらない生活を送ることも可能です。ただしそのためには症状のない寛解期にも継続して適切な治療を続ける必要があります。 重要なのは早期の段階で専門医を受診し、正確な診断を受けることです。特に潰瘍性大腸炎は、同じく難病指定されているクローン病と症状が似ているため、適切な治療を受けるためには大腸内視鏡による精密検査が不可欠です。潰瘍性大腸炎とクローン病は治療法が大きく異なります。疑わしい症状があったらできるだけ速やかに専門医を受診しましょう。
クローン病は、口から肛門までの消化管に炎症を起こす病気で、症状を起こす活動期(再燃期)と症状が治まる寛解期を繰り返して進行します。発症原因がわかっていないため根治に導く治療法がなく、厚生労働省から難病指定を受けています。免疫反応によって過剰に作り出されたTNF-αという体内物質が炎症を起こしているということはわかっています。 寛解期にも地道に治療を続けることで、普通の生活を送ることもできます。潰瘍性大腸炎と似ていますが、クローン病は消化管すべてに炎症を起こす可能性があるという点が異なっています。治療でもクローン病は栄養療法や食事制限が必要になることがあるなど、違いがあります。そのため、専門医を受診して、正確な診断を受けることが重要です。
便秘は、「本来体外に排出すべき便を十分量かつ快適に排出できない状態」です。この定義は、日本消化器病学会関連研究会が発表した『慢性便秘症診療ガイドライン』で発表されたもので、毎日排便があっても少量しか出ない場合なども含んでいるため、より正確に便秘という状態を伝えることができます。 便秘は、適切な治療で解消できる病気です。便秘で悩んでいる方はとても多いものの、専門医による治療を受けている方はまだ少ないのが現状です。便秘は腸や肛門へ大きな負担をかけて疾患を引き起こす原因になりますし、健康や肌などにも悪影響を及ぼし、日常生活に支障を生じQOL(クオリティ・オブ・ライフ)を低下させます。また深刻な疾患の症状として便秘が生じているケースもあります。 当院では、専門医が患者様のお話をしっかりうかがって、症状やお悩み、ライフスタイルなどに合わせた適切な治療を行っています。数日便が出ないことがある、強くいきまないと出ない、薬を飲まないと出ない、排便後もスッキリしないといったお悩みがある場合には、ご相談ください。
下痢は水分量の多い便で、やわらかく形が保てないものから水っぽいものまで様々です。排便時に腹痛をともなうことが多く、排便回数も増加します。吸収できる水分が減るため脱水リスクが高く、特に子どもや高齢者は注意が必要です。脱水症状が現れたらすぐに医療機関を受診しましょう。市販の経口補水液や薄い食塩水にブドウ糖を入れたもので水分補給するのも有効ですが、必ず常温や湯冷まし程度の温度のものを飲むようにしてください。冷えている飲み物は刺激が強く、下痢を悪化させる可能性があります。なお、嘔吐をともなう場合、急激な脱水が進む可能性がありますので、できるだけ早く医療機関を受診してください。
便に血が混じっている、便全体が黒っぽいなど見た目でわかるものは肉眼的血便と呼ばれます。見た目でわからないほど微量の血液が混じっているものは顕微鏡的血便と呼ばれ、便潜血検査ではじめてわかります。 肉眼的血便も顕微鏡的血便も、消化管から肛門のどこかに出血が起こっている状態です。大腸がんをはじめ深刻な大腸疾患の可能性があるので血便が出た、あるいは便潜血検査で陽性を指摘されたら、できるだけ早く消化器科を受診しましょう。 受診の際に、血便の状態をご説明いただけるとよりスムーズな診断が可能になります。専門医であれば患者様のお話をうかがうことで、ある程度出血している場所を予測できますので、必要な検査を絞り込むことができ、不要な検査をしなくてすみます。