「ジャム 聖夜の物語」 クリスマス。 きらびやかなイルミネーションの街で、 美容室「ジャム」は不思議なくらい静かな夜だった。 閉店間際。 入り口のベルが小さく鳴った。 「…まだ、いいですか?」 入ってきたのは、 冷たい風に乱れたヘアに、 毛先が傷んだ、疲れた表情の女性だった。 「すみません…こんな日に」 クロスを巻くと、 冷え切った身体の彼女の肩が ほんの少しだけ落ちたように感じた...